当店のお客様よりご投稿をいただきました!
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筆者はゴリゴリの、UK&ヨーロッパのプログレ愛聴者ですが、最近はトラッドやフォークのアナログ盤をターンテーブルに乗せる機会が多くなりました。アナログ盤セールのリストなどを見ると、去年(2022年)後半あたりからこの分野のレア盤の出品が徐々に目立ってきたような気がします。まぁ、マーケットが動意づいているというよりは、自分が集中して聴くようになってきたので、そのような色眼鏡でリストやエサ箱を見るようになった、というのが、実際のところなのだとは思います。でも、一リスナーとしては、そういう風に見えるのだから仕方ない、チャンスだから究めていこう、という感じで日々散財しています。「ゆうらしあ」さんにも本当にお世話になっています。
やはり、ロック・ファンやプログレ・ファンがトラッド・フォーク系に馴染んでいくのは、それなりに自然な気がします。何よりUKミュージシャンの作品にUKのルーツ音楽の影響が反映されるのは当然と言えば当然。いきなり、フェアポート・コンヴェンションやスティーライ・スパン、ペンタングル*からこの世界に入る「最初からマニア」な方もいらっしゃるでしょうし、ルネッサンスのジェーン・レルフやアニー・ハスラムの美しい女性ヴォーカルから自然に入っていった人、ジェネシスの12弦ギターのアルペジオから興味を持った人、新代田のライブハウス「フィーバー」で2012年2月初来日したコーマスから衝撃を受けてハマった人、いろいろなパターンがあると思いますが、一番メジャーな入り方は、ツェッペリンIIIや、Ⅳの”Battle of Evermore”から、でしょうか。
*どうでもいい話しですが、中古マーケットの世界では大手の○ィスク□ニオ×のホームページでJohn Renbourn”Sir John Alot”(邦題 : ジョン・レンボーン「鎧面の騎士」)のSHM-CDを検索すると、「鎧麺の騎士」と出てきます。とても消化に悪そうです。と言うか、歯が折れて治療代が嵩みそうです。
また、UKに限らず、同じような構図はヨーロッパ大陸でも指摘できると思います。例えばイタリアではキングのヨーロピアン・ロック・コレクションの栄えある第1回目、マウロ・パガーニの1st「地中海の伝説」に魅せられた人も数多くいらっしゃるでしょう。2013年4月クラブチッタ川崎でのアレアとパガーニのジョイント・ライブにおける彼のソロ・パート。同アルバム1曲目「ヨーロッパの曙」が鳴り響いた時の、オーディエンスの歓声。人気あるミュージシャンのパフォーマンスだから、という理由はありますが、こういった民謡調ダンス音楽が日本でも受け入れられたことは特筆すべきだと思います。メジャーどころのPFM、アレアあたりからカンツォニエーレ・デル・ラツィオやカルナシャリア、ファブリツィオ・デ・アンドレ、テレサ・デ・シオなどの地中海音楽へ、イル・ヴォーロ、フォルムラ・トレからルチオ・バッティスティのようなフォーク系SSW(とも言い切れないですが)へと、よりコアな領域へと足を踏み入れるケースも多いと推測されます。
さあ、ここまで辿り着くのに大分かかってしまいましたが、Michael Raven & Joan Mills です。RDM”ラビリンス”にも紹介されているので、音自体の解説は割愛させていただきますが、コアな上級者のトラッド&フォーク・ファンにはお馴染みでしょう。昔からレアかつ人気のあるアーティストなので入手には一苦労しますが、一部のネット通販サイトへの出品もコンスタントにあるようなので、「覚悟を決めれば」昔よりは入手は現実的になってきた感はあります。それでも、状態の良いオリジナルLPは探そうと思ってもなかなか難しいものがあります。主なディスコグラフィを以下に記します(オリジナルがアナログLPと思われるもののみ)
① Death And The Lady Folk Heritage Recordings FHR047 (200枚プレス?) 1971
② The Jolly Machine** Folk Heritage Recordings FHR053 1974
**Michael Raven & Joan Mills With Saga名
③ Hymn To Che Guevara Folk Heritage Recordings FHR054 (100枚プレス?) 1974
④ Can Y Melinydd Stoof MU7430 1976
なお、1980年になってから、Ravenshead名義でシングル「Che Guevara」がリリースされており、③タイトル曲が(何故か)Hymnが取れてA面に収録されています。もちろん同じ曲なのですが、アルバムではライブ・バージョンでした。これらの音源については、触れるだけなら、2000年以降になってからCDやアナログ再発もあるのでこちらを利用する手はありますが、再発自体もプレスが少ないので、こまめに中古のサイトをチェックしておいた方が無難です。なお、アーティスト本人が自身のホームページ https://michaelraven.co.uk で、CDやカセット、本を販売しており、これを利用することも可能です。この二人はパフォーマーであると同時にUKルーツミュージックの研究者でもあり、音源のみならず楽譜や学術書・解説書も数多く発表しています。上記①〜④の再録CDや彼らの研究結果が多数、販売リストに載っていますが、残念ながら、徐々に売切れが目立つ状況になってきているようです。
さて、大変地味なトピックスで恐縮なのですが、本稿の目玉は、④Can Y Melinydd (Stoof MU7430 1976)です。このStoofと言うオランダのレーベルは、フォーク・ファン、トラッド・ファン、プログレ・ファンの間ではそこせこ有名で、所属アーティストであるOPO(「Fallen Asleep Just Like Papa」「OPO2」は必聴です)やChimera、Tail Toddleなど、これらに批判的な人はおそらくいないだろうと言うくらいの名盤が揃っているのですが、いくつかの作品に付属しているカンパニー・スリーブにはジャケ写付きのカタログが印刷されており、大変重宝していたものです。この中に、④も掲載されているのですが、ジャケ写がなく、「一体、このアルバムは何だろう?」と長年思っていました。今回「ゆうらしあ」さんのお骨折りで本作品を入手することができたのですが、本当に「ジャケット」がなく、初めて「あぁ、こう言うことだったんだ」と納得した次第です。実はラビリンスにもその旨の記述はあるのですが、やはり実際に見てみないと肚落ちしないものです。また、それなりに確りしている(失礼!)レーベルのため、これまでリリースしていた自主制作盤とは録音が桁違いに向上していることを付け加えさせていただきます。なお、どんな背景でStoofから出されたのか、については残念ながら筆者は把握しておりません。(下 : カンパニー・スリーブおよび④A面ラベル)


なお、先ほど紹介した彼らのホームページでも、本作品は「The Dutch Connection」という名称で再録CDが販売されています。筆者もここから直接Joan Mills嬢(もう、お婆ちゃんですが)と遣り取りして購入したのですが、スリムケースに封入されたブート紛いのチープな作りのジャケ(一応はちゃんと作ったんだね)に反して、これがとんでもなく素晴らしい出来だったため、どうしても原盤を入手したいと思った次第です。「ゆうらしあ」さんには本当に感謝です。こういったコレクションは一人でじっと待っていても、成功することはなかなか難しいため、アドバイスをいただいたり、サポートしてくださる方の存在が大きいことを痛感しました。レア盤かどうかに拘らず、読者のみなさんにも、大切な一枚との素晴らしい出会いがありますように!(下 : ④再録CD付属のジャケットおよびJoan Mills嬢からのメッセージ)

